白壁の町に住み継ぐ家

第三章 夢を形に 第一章第二章|第三章|第四章第五章第六章第七章第八章第九章

第一節 間取の変更履歴

F建設に依頼することに決まった後、いよいよ間取りを中心に細かいところ詰めていくことになります。まず最初の変更はこのような内容でした。
・階段下のスペースに茶道用水屋を設ける。
・仏壇置き場を設ける。
・床の間は向かって右側(南側)に一間、左側一間には違い棚を設ける。
・床の間の右側は出書院。

これらの事項は最後まで打ち合わせの度に変わり続けたものになりました。間取りを決めるまでの概要を順に追ってゆくと次のようになります。

H11/12/3

最初の間取り

H11/12/5

玄関を半間西に移動して現在と同じ位置に、階段下を水屋に、書院を出書院に、リビングを10畳に、子世帯風呂をシャワールームに、二階子供部屋仕切なし。

H12/1/10

親寝室を7畳半とし和室との境を襖に、和室8畳に北側廊下からの入口をつける、仏壇置き場を床の間左に、書院を廃止し縁側突き当たりは押入に戻す、親キッチンを11畳にする、リビング南西角を窓に、二階階段吹き抜け横に物入追加

H12/2/10

親寝室6畳に戻す、階段上がり口東側に変更、水屋使い勝手を廊下側に、親キッチン9畳に戻す、家周囲のポーチを減らす、蔵入口開き戸に

H12/2/24

裏玄関土間3畳に拡大、裏玄関ドアを親子開き戸に、子世帯シャワールーム廃止、子世帯男用小便器追加。

H12/3/2

床の間の位置修正、親キッチン窓を出窓に、蔵入口土間に、蔵西窓をたてすべり窓に。

H12/3/17

親寝室タンス置き場追加、押入位置変更、入口を開き戸に、北側窓を掃き出しに、二間和室畳敷き方向変更、親キッチンを11畳にリビングを8畳に、キッチンから洗面所への戸幅変更し洗面所内に収納を追加、リビング窓をブラインド内蔵サッシに、浴室レイアウト変更、子トイレレイアウト変更。

H12/3/27

親寝室東側窓廃止、和室書院を4尺5寸の平書院にし縁側突き当たり物入れを奥行き1尺5寸で、玄関に式台追加、子トイレ用手洗い器追加、北側外塀案提示。


このように整理してみると、変更の多かった箇所はどこかというのがよくわかります。

 

第二節 和室は茶室?

和室に於いてはほとんど母のこだわりで出来上がりました。和風住宅の本を何冊か打ち合せの時に用意しては、床の間をどうするか、違い棚は付けるのかどうか、書院をつけたいがそうすると縁側奥に押入は付けられなくなり場所がもったいない、等々あれこれ考えていました。。最終的には床の左には仏壇間、中央一間に床の間、右半間は地袋に平書院を4尺5寸幅と広めに取り、縁側突き当りは奥行きの浅い押入れとなりました。

なぜ母はこれだけ和室にこだわったのでしょうか。それは「茶道」の為に他なりません。他の家族は和室の畳の一枚に炉を切るだけで済むもの、程度でしか考えていなかったのです。けれどその為の細かい指示は我々のみならず、工務店側も思いもしないことが色々ありました。
例えば床柱、これは丸いものでないとダメ。当初無かった北側からの和室入口も作法上必要になる為に追加。畳の敷き方では、床の間・主人の位置・客人の位置から、8畳間では通常は”床差し”と言って嫌われる、側の畳が床の間側に縦になるように敷く様になりました。

仏壇を置く場所もあれこれ悩み、変更を重ねました。お盆などにはお寺さんが来て仏壇を拝むこともありますから、やはり二間和室にあるのが良さそうです。階段下スペースに入れることも出来そうですが、仏さんの頭の上を踏むのは宜しくないと一般に言われているそうなので、それも避けました。(これの対策として、仏壇の上に『空』と書いた紙を置いておけば良いそうです。)

単にスペースの利用効率を考えると、床の間の側に置く場所を設けるのがベターです。しかし西向きになるのを”方角が良くない”と母は気にしていました。もっとも羽島の家では同じ西向きにずっと置かれていたこと、仏壇を東の方向に置く場合は西向きに置くのが吉というのを高島暦から見つけてきたことで、納得して貰いました。
仏壇を置く場所には観音開きの襖をつけ、普段は襖は開けて内側に引き込んでおき、お茶をするとき等仏壇を隠したいときだけ襖を閉じることとしました。

和室に面した広縁も母が希望したものです。採用した間取では玄関から奥へまっすぐ伸びた廊下が広縁と同じ巾で、右手へ伸びる広縁と合わせて見渡せる様になっています。こういう間取はあまりなく(F建設では実例があるのですが)、母は抵抗がありました。玄関から縁側の方へは壁で塞いで欲しかったのです。理由は縁側で何か(裁縫とか昼寝とか)しているときに玄関から客が入ってきたら見られてしまうから、というもの。しかしここは私が反対をして、原案を通してもらいました。ここは基本的にパブリックスペースなので、見た目優先を主張したのです。玄関から入った時の見通しの面白さというのが、この間取の良いところだと感じていたからでもあります。F建設との打ち合わせの場で口論を戦わせたこともあり、
「同じ場で違う意見が出るのはまだいい方で、違う時に違う意見を別々に言われて来られる方が敵わない。」
とフォローをいれてくれたりもしました。

 

間取りに関しては、私と母の意見がしばしば対立していました。端から見ている者は
「両方とも寅年じゃから」
と、半ばさじを投げている様でした。

思えば依頼先業者を決めるまでは私と父の対立で、それ以後は私の相手が父から母に代わった様な図式になってしまいました。

 

第三節 その他の間取りの変更

台所では初めは勝手口が設けられていたのですが、裏玄関がすぐ隣にあるので要らないと判断してなくしてしまいました。これに母は不満で、打ち合わせの度に勝手口について話が及んでは同じ理由で説得を続けました。間取りを決定して工事が始まった後でも「やはり勝手口が欲しい」と言ってきました。他の人に聞くからどうしても勝手口が必要に思えてしまうのです。口で説明するだけでは難しいと感じ、1/25のスケールで台所の模型をこしらえて、勝手口を作ることにより不便になる収納を説明もしました。普通ならそれほど収納が足りなくなるとも思えないのですが、何しろ母のストック財産は膨大なものらしいので、収納優先と言われれば母も一歩引かざるを得なかったみたいです。
1/25台所模型、トーヨーキッチンcaro。

子世帯の間取は大きな変更はありませんでした。予算オーバーの為風呂は基本的には共同で使おうということになったので、風呂をシャワールームに変えたこと(後にこれも廃止しました)、そして不特定な来客が主に男性であることから、男性用小便器を追加したことが変更らしい変更と言えそうです。

更に裏玄関が子世帯の実質の玄関となりますが、ここは玄関を入ったところの土間部分を思いっきり広くして貰いました。幅1間×奥行1間半で広さは3畳もあるので、使い方をいろいろ工夫できそうです。

 

第四節 見積

二月の打ち合せで概算見積が出てきました。予想、というか、こちらが提示していた金額を遙かに上回る額に、家族全員黙り込むしかありませんでした。\1,000万以上オーバーしていたのです。
これに対処する方法がないわけではありません。今親世帯が住んでいる家と土地を処分すればまかなえるのです。しかしそう簡単に決断できるものでもなく、結論はすぐには出せません。

とりあえずその場で出したコストダウンは、
・張出させた部屋の部分を元に戻す。
・子世帯シャワールーム廃止、風呂は親と共同で使う。
という2点でした。

私は見積の内容を表計算(=Excel)に移し替え、コストダウンできそうな所を逐一削っていきました。それでも\500万落すことはできません。とりあえずその結果を持って工務店へ赴き、コストダウンの案を練りました。

コストが大きくかかっている場所、それは屋根です。面積が大きいこともありますが、入母屋の屋根で、おまけに尾を垂らしていることから、瓦にかなりの金額がかかっていました。見積はいぶし瓦の、それもやや良いもので見積られていたので、よけい高かったのです。
一般的な釉薬瓦だと値段はもっと下がると言うことを聞き、サンプルを借りて父に見せたところ、特にいぶしにこだわることはなく、むしろ釉薬の方が色変りしないのであればこちらの方がよいということになりました。これで瓦の値段が下がり、コストダウンに大きく貢献しました。

住宅設備は松下電工で見積られており、どれもなかなか豪勢な値段が付いた設備でした。ここらは比較的落しやすい、というより初めから落しシロを見込んでいたところだったので、ある程度目標を定めて、コストダウンすることにしました。

2月27日、変更後の見積が出てきました。当初の見積に対して10%のコストダウンになり、当初の予算よりまだまだオーバーしていたものの、現実的になんとかなりそうな金額となってきまして一安心です。

コストダウンで大きく利いたのは次の四点です。1点は、間取で張出しをしていた部分を止めたことで、高価な銅板庇も2ヶ所なくなったこと。次に瓦の変更等による屋根のコストダウン。もう一つが子世帯シャワールーム廃止を含む住設機器のコストダウン。そして内装のコストダウンです。

 

第五節 住宅設備機器其の一:概略

見積が出る前後、住宅設備機器の資料を集めるべくショウルームを片っ端から訪ねました。ほとんどのメーカーのショウルームは岡山市の今という地区周辺に集っていたので都合がよく、1/14には4社のキッチンショウルーム巡りをこなしました。翌週には両親と妻も連れて3ケ所ほど回りましたが、後で聞いてみるとどこかどうだったか覚えられなかったとこぼしていました。事前にある程度知識を持ってからの方が良かった様です。
また、当時岡山にショウルームのなかったトステム等はwebからカタログを請求して集めていきました。しまいにはカタログ整理用に用意した三段の小物入れは、カタログの重みでキャスターが動かなくなるほどになっていました。
また住宅雑誌などは別にマガジンラックを作製し、いつも手の届くところへ置いていました。

集めたカタログとショウルームで見てきた印象から、各設備に欲しい条件を洗い出してみると次の様になりました。

・システムキッチン(親世帯)
丈夫なステンレス天板、大きくてシンプルなシンク。
引戸中心の収納。
ガスレンジはコンロ間隔が33cm以上ある両面焼きグリル付。
表面の手入れのしやすい素材
建具のしっかりした造り

・キッチン(子世帯)
機能とコストを最優先して業務用ステンレスシンクを採用。
コンロはハイパワー業務用、ガスレンジ付。立消え安全装置が上部コンロにも付いているもの。
収納は作りつけでカバーする。

・風呂
バリアフリー、かつノングレーチングな床の1坪用システムバス。入口は三枚引き戸の広い開口。
浴槽満水容量のできるだけ小さいもの。280L以下。
浴槽素材は人工大理石。浴槽内部に手すりのあるもの。
鏡・収納はこだわらない。

・洗面
大きめのボール、角が張出していて肘から伝う水を受けられるものなら更に良い。
巾は75cm。

・トイレ
洗浄水量の小さいもの。
できれば手すりの付いたもの。跳ね上げ式ならベスト。
音の小さいもの

 

第六節 住宅設備機器其の二:キッチン

住設機器で一番労力をかけたのは親世帯キッチンです。おおまかなものを含めると、見積プランを出して貰っただけでも松下・TOTO・クリナップ・TOYOキッチンで、他にもタカラ・NAS・サンウエーブ・INAX・ベルテクノ・日立化成・トステムの各ショウルームを回って資料を集めました。割振った予算も風呂よりかなり大きく、コストダウンをかけた後でも\100万を優に越えてしまいました。主なメーカーの感想はこんな感じです。
松下:優等生、いいとこどり。選んで間違いはない。値引きも○。
クリナップ:ステンレスキャビのフロアストッカータイプが良さそう。
サンウェーブ:幅広のガスコンロは一番使いやすそう。
ベルテクノ:無垢板の扉のバリエーションが豊富で値段も安い。木の扉ならここ。

これらの中から選ばれたのがTOYOKITCHENです。カウンタートップをステンレスにしたいという希望から、1.2mmと厚みのあるしっかりしたステンレストップに幅100cmを越える大きなシンク、シンクの上に乗るプレートも非常に丈夫である、という事で決まりました。

扉は木目は掃除がやりにくそうということでしたので、メラミン化粧パネルにしました。色柄は妻の趣味で、敢えて無機的なシルバー調のもの(採用したのはチタンカラー)にしました。

当初は上級グレードのCREAで見積をして貰っていましたが、予算的に厳しいのでワンランク下のcaroシリーズに変更しました。CREAの大きな引き出しはカッコ良くて収納量も多そうでしたが、シンク下引き出しの幅が120cmあるのはかえって作業の邪魔になりそうだと、理由をこじつけてのランクダウンです。

ラインナップのガスコンロには思ったモノがなかったので、リンナイの別物を付けて貰う事を提案しました。検討している時期に、ちょうど良いモデルの発表があったので、それを採用したのです。(もっともTOYOKITCHENには伊ILVE製の立派なコンロもあるが、予算上断念した。)

食器洗浄機には、本当はホシザキのものを付けたかったのですが、これも断念しました。母が食器乾燥機にこだわりを示していたので、敢えて乾燥機能の付いた標準品の中のものから選択しました。

コンロにしても食器洗浄機にしても、カタログにない標準外の品でも対応してくれるのには好印象を持ちました。

収納はこれでもか、という程追加しました。シンク上の吊り戸棚はもちろん、左サイドの手持ちの食器棚を置く位置にも吊り戸棚、冷蔵庫上にも吊り戸棚、右サイドには幅180cm・高さ228cmもの収納庫を付けました。機能優先であれば作りつけにして貰った方が安く付くのはわかっていましたが、ここは見た目優先でシステムキッチンとデザインを合わせた収納にしてみました。

総じてTOYOKITCHENはデザイン指向にあるという印象を持ちました。細かい使い勝手を優先するなら他社の方が良さそうに思えます。特にケコミ部分の引き出し収納がブームになっていましたから、これを採用しないTOYOKITCHENは収納力でも一歩譲ると言えるでしょう。

これに対して子世帯キッチンは簡単に決めてしまいました。機能&コスト最優先の為業務用機器の採用に踏切ったのです。シンク作業台は自分で寸法図を起して見積をしてもらい、ガスレンジも各メーカーのカタログを取寄せて、業務用の中では珍しい部類の立消え安全装置付トップバーナー装備のオザキ製に決めました。一般家庭用の3倍近い12,000kcalの火力と400℃迄設定できるガスオーブンが自慢です。構成自体は対面式として、背面に電子レンジ・炊飯器などを置くカウンターを置くことにしていますが、そのカウンターは作りつけでこしらえて貰うことにしました。

オザキの業務用ガスレンジOZM-90RJ2x(12,000kcal x2,3500kcal x1)

選んだオザキのガスレンジとほぼ同じ型のものが、洋食のおいしい店「おいしん坊」のカウンター奥調理場で使われているのを見つけ、気を良くしています。

 

第七節 住宅設備機器其の三:風呂

風呂では、当初見積りされていた松下電工が最後まで候補として残りました。浴槽容量は大きくなく、人工大理石の質感も良いのがポイントだったのだけれど、モデルチェンジで浴槽が大きくなりすぎてしまったので最終的には外れてしまいました。対抗馬はクリナップで、浴槽材質は人工大理石ではないけれど、FRPより質感の良い素材を採用したシリーズは定価が安かったのがポイントでした。

システムバスには浴槽は思ったものがなく、在来工法で作り上げることも考えました。予算的にもシステムバスとそれほど変わらずにできるという見積も出して貰いました。しかし、タイル貼りよりシステムバスの方が掃除が楽ということと、将来改築する場合でもシステムバスの方が入れ替えが容易であるとの判断から、システムバスをやはり採用することにしました。

採用したのはトステムのレフィールです。当初浴槽が大きすぎ候補から外していたのですが、モデルチェンジで浴槽内に半身浴用の大きな段差が付き、おかげで浴槽容量が少しだけ減ったので、候補として復活しました。定価は高いのですが値引きが良いということで、これに決めたわけです。浴室暖房乾燥機が標準装備になっていますが、これはオマケ程度に考えておりまして、来客が泊まる時にでも使ってあげようかと思っております。

トステムのシステムバス、レフィノB。入り口を3枚引き戸にした為、浴槽・洗面カウンター・窓の配置は異なる。

シリーズの中でも安価な素材を選択しました。浴槽はシルキーピンク、Fさん曰く
「リンスを垂れ流したような色」
とは、まさしくその通りの色と質感です。家族を出来て間もないトステムのショウルームへ連れて行き、実物の浴槽の色を確認したところ、最初父は嫌がっていました。しかし他の者に押し切られ、雰囲気の明るいピンクでということに決まりました。『大の男がピンクの風呂に喜んで入れるか』という気持ちはわからないでもないですがね。

 

第八節 住宅設備機器其の四:トイレ,洗面

洗面・脱衣場は1坪と、実は狭いのです。コストもありますが、しゃれた洗面台にするのはスペース面から諦めて、メーカーのシステム洗面台にすることにしました。洗面台については、以前松下電工ショウルームでF建設の営業をされている奥さんに、「水栓が水平面から出ている従来の物は、根元にゴミが溜まりやすく掃除もしにくい。最近の物は壁面から斜めに出ているのでゴミも溜まらず掃除しやすい。」と、実に的確なアドバイスを頂いていたので、それを念頭に置いて選びました。

選んだのはTOTOのボウルの大きい”ランドリードレッサー”。値段はなかなか高価だったのですが、ホームセンターで安く売っているのを偶然見つけていたので、これにしようと工務店に提案したら、『それはこれではないか』と出てきたのがアパート用のカタログで、まさに同じ物が載っていました。通常のカタログの品番に"E"が付いているので、おそらくエコノミーの"E"なのであろう、シャワーホースが金属でなく樹脂ホースになっていましたが、値段は6割程度で済むのです。
TOTOのランドリードレッサー廉価版。

トイレは見積にあった松下のものが跳ね上げ式手すりがついていて良いのですが、さすがに値段も高い。しかし一つ安いシリーズで同じ手すり付が新製品で出たので、迷わずこれに変更しました。この手すりがあると、高齢者でなくとも立ち上がるときにとても楽チンです。

子世帯側は実家の3年ほど前改装したばかりの便器を使い回すことにして、代りに男子用小便器を追加させて貰いました。不特定な来客は男性が主であるという事と、子供が男であるという事がその理由です。

 

第九節 内装

さて建物の内装ですが、これは私以外に細かいことを言う者はおりませんでした。というのも、内装の明細は見積書に記載されている項目から拾って見ることになりますので、ピンと来ないからなのです。そもそも見積書の中身まで細かく見ているのは私の他には父が見ていた程度でした。

親世帯の和室周りは常識的な珪藻聚楽壁と襖ですから、変更の余地といっても色や襖紙の柄程度です。ただし床の間周りの造作材や欄間については、見ておかなくてはなりません。が、ここはおそらく母まかせになりそうです。

和室とその周囲の廊下・縁側以外の床は、Jパネルという12mm厚の材を三層に重ね合わせた一種の集成材を使います。表面の材質はヒノキ・カラ松・杉の3種類、カラ松だけは裏面もカラ松で中央層が杉材、他は中央・裏とも杉材になります。この材料の利点は、厚みがあるので下地を簡略化できること、ある程度の蓄熱効果がありOMソーラーにも向いていること、値段が安価であることがあります。欠点は、節有り材であることぐらいです。この材料はF建設では多用しており、歩いたときの質感が堅すぎず心地よいという定評があります。

12月の完成見学会では、OMソーラーは採用していなかったけれども、冬の陽射しを浴びてほんのりと温もったJパネルの床を体験することもできました。

親リビングの壁はナラ材を張る予定で、ここは少し贅沢にしています。続くDKは壁紙を張る予定ですが、変更するかも知れません。

子リビングの壁・2階の子供部屋と寝室の壁はカラ松系F1合板を張ります。これはフォルクスハウスに用いられているものと同様のもので、床と同じく節有り材になります。しかしこれにはちょっと問題があって、塗装にオスモカラーを塗ると材料内部のホルムアルデヒドを抑制している成分と反応して、閉じこめられていたホルムアルデヒドが逆に外に出てしまうという欠点がわかっています。塗装としては自然派最右翼のアウロにするか、或いは柿渋にするか、検討中です。

ここは最初の見積では壁紙+ホワイトウッド腰壁になっていました。腰壁を作ることがコストに結構響いてきていたのと、
「木の質感が欲しい」
という妻の要望も踏まえ、カラ松合板に変更し腰壁は止めました。

天井は和室二間は当然として、その周辺の親世帯ゾーンは常識的な天井を張ることにし、子世帯ゾーンは天井は無しにして、開放感を強調するようにしました。

サッシ類は元々全ての窓はペアガラスで、主なところは室内側が樹脂の断熱サッシ(トステムのシンフォニーシリーズ)を採用しました。サッシの外側の色は焼き板に合わせて全て黒、断熱サッシの室内側はヒノキ調にしています。

表玄関は木目調の引き戸サッシにしました。

OMの暖房効果の高い部分に近い裏口には、断熱の親子ドアを奢りました。当初はドア高2300mmの普通の玄関ドアになっていたのですが、それでは裏口らしくならないので、欄間ガラス付きの2000mm高のものから選びました。

 

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